「売れる旅館」と「再生できる旅館」は違う
- 6 時間前
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旅館の経営が厳しくなり、M&Aを検討する段階になると、
「この旅館はいくらで売れるのか」
「買い手はつくのか」
という話が中心になります。
もちろん、M&Aではとても重要な視点です。
しかし、旅館再生を考える立場から見ると、もう一つ大事な問いがあります。
「この旅館は、再生できるのか」
です。
そして私たちは、
「売れる旅館」と「再生できる旅館」は、必ずしも同じではない
と考えています。
買い手がつきやすい旅館には特徴がある
一般的にM&Aでは、買い手にとって分かりやすい魅力がある方が有利です。
立地が良い。
知名度がある。
規模が大きい。
設備が新しい。
客室数が多い。
ブランド力がある。
将来的な開発余地がある。
こうした要素は、買い手にとって判断しやすい材料になります。
逆に、
規模が小さい。
建物が古い。
地方にある。
知名度が高くない。
借入金が多い。
こうした旅館は、売却の観点では評価されにくいことがあります。
しかし、それだけで
「事業として再生できない」
とは限りません。
小さくても、十分に成り立つ旅館はある
旅館は、大きければ良いわけではありません。
むしろ規模が小さいからこそ、
少ない人員で回せる。
固定費を抑えられる。
小回りが利く。
客層を絞りやすい。
地域との関係を保ちやすい。
という強みもあります。
例えば、客室数は少なくても、
適正な単価で販売できる。
料理原価をコントロールできる。
必要な人員で運営できる。
繁忙日と閑散日の売り方を変えられる。
こうした経営ができれば、十分に事業として成立する可能性があります。
売却市場で高く評価されるかどうかと、経営として成り立つかどうかは別の話です。
売却価格だけでは見えない価値がある
旅館には、数字に表れにくい価値もあります。
長年付き合っている地元の仕入先。
地域で働いてきた従業員。
常連のお客様。
地域での信用。
温泉地の中での役割。
こうしたものは、M&Aの評価額には十分に反映されないこともあります。
しかし、旅館を経営するうえでは重要な資産です。
私たちは、
「いくらで売れるのか」だけではなく、「何が残っているのか」
を見るべきだと考えています。
再生では「伸ばせる部分」を見る
再生可能性を考えるとき、重要なのは今の数字だけではありません。
例えば、
週末は十分に利益が出ている。
特定の客室は高単価で売れている。
リピーターが多い。
温泉や料理に明確な強みがある。
スタッフの定着率が高い。
地域内での評判が良い。
こうした部分があるなら、
そこを伸ばすことで事業全体を変えられる可能性があります。
逆に、旅館全体を一括して
「赤字だから価値がない」
と判断すると、本来残せる部分まで見落としてしまいます。
買い手がいない旅館でも、残せることがある
M&Aを検討したものの、
希望する条件では買い手が見つからない。
価格が折り合わない。
地方だから候補先が少ない。
そんなケースもあります。
そのとき、
「買い手がいない=終わり」
ではありません。
経営の仕組みを変える。
規模を適正化する。
価格を見直す。
販売方法を変える。
不採算部分をやめる。
金融条件を組み直す。
こうした方法によって、
売却ではなく「残す」という方向に切り替えられる可能性もあります。
逆に、「売れる旅館」でも再生が簡単とは限らない
一方で、買い手がつきやすい旅館だからといって、経営再生が簡単とは限りません。
規模が大きい分、人件費が重い。
施設が広く、修繕費が大きい。
ブランドを維持するための投資が必要。
客室数が多く、稼働率を維持しなければならない。
大きな旅館ほど、固定費も大きくなる傾向があります。
つまり、
「売れる価値」と「経営しやすさ」も、必ずしも一致しません。
金融機関に見てほしいのは「売却可能性」だけではない
金融機関の立場では、
債権回収。
返済可能性。
事業承継。
担保価値。
など、さまざまな視点が必要になります。
だからM&Aという選択肢が重要なのは当然です。
ただ、それと同時に、
「この事業には、まだ収益を生み出せる部分が残っているか」
という視点も持っていただければと思います。
売却価格だけでは見えないものがあります。
「売れるか」より先に、「残せるか」を考えてみる
M&Aは、大切な選択肢です。
しかし、
売れる旅館=残す価値がある旅館
でも、
売れない旅館=残す価値がない旅館
でもありません。
事業として成立する可能性があるのか。
地域に残す意味があるのか。
改善できる余地があるのか。
そこを一度整理してから、売却を考えても遅くはありません。
「売れるか」の前に、「残せるか」を考える。
私たちは、その視点をもっと広げていきたいと考えています。
金融機関・支援機関の皆様へ
「M&Aを検討しているが、買い手候補が見つからない」
「売却価格が低く、このまま進めるべきか迷っている」
「旅館として残す可能性を一度検討してみたい」
そのような案件がありましたら、正式な案件化前でも構いません。
旅館名や企業名を伏せた状態からでも、お話を伺います。
売却価値だけではなく、事業として残せる価値があるのか、一緒に整理してみませんか。

