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「売れる旅館」と「再生できる旅館」は違う

  • 6 時間前
  • 読了時間: 5分

旅館の経営が厳しくなり、M&Aを検討する段階になると、


「この旅館はいくらで売れるのか」

「買い手はつくのか」

という話が中心になります。


もちろん、M&Aではとても重要な視点です。

しかし、旅館再生を考える立場から見ると、もう一つ大事な問いがあります。

「この旅館は、再生できるのか」

です。


そして私たちは、

「売れる旅館」と「再生できる旅館」は、必ずしも同じではない

と考えています。



買い手がつきやすい旅館には特徴がある


一般的にM&Aでは、買い手にとって分かりやすい魅力がある方が有利です。


立地が良い。

知名度がある。

規模が大きい。

設備が新しい。

客室数が多い。

ブランド力がある。

将来的な開発余地がある。


こうした要素は、買い手にとって判断しやすい材料になります。


逆に、

規模が小さい。

建物が古い。

地方にある。

知名度が高くない。

借入金が多い。


こうした旅館は、売却の観点では評価されにくいことがあります。


しかし、それだけで

「事業として再生できない」

とは限りません。



小さくても、十分に成り立つ旅館はある


旅館は、大きければ良いわけではありません。


むしろ規模が小さいからこそ、

少ない人員で回せる。

固定費を抑えられる。

小回りが利く。

客層を絞りやすい。

地域との関係を保ちやすい。

という強みもあります。


例えば、客室数は少なくても、

適正な単価で販売できる。

料理原価をコントロールできる。

必要な人員で運営できる。

繁忙日と閑散日の売り方を変えられる。


こうした経営ができれば、十分に事業として成立する可能性があります。

売却市場で高く評価されるかどうかと、経営として成り立つかどうかは別の話です。



売却価格だけでは見えない価値がある


旅館には、数字に表れにくい価値もあります。


長年付き合っている地元の仕入先。

地域で働いてきた従業員。

常連のお客様。

地域での信用。

温泉地の中での役割。


こうしたものは、M&Aの評価額には十分に反映されないこともあります。

しかし、旅館を経営するうえでは重要な資産です。


私たちは、

「いくらで売れるのか」だけではなく、「何が残っているのか」

を見るべきだと考えています。



再生では「伸ばせる部分」を見る


再生可能性を考えるとき、重要なのは今の数字だけではありません。


例えば、

週末は十分に利益が出ている。

特定の客室は高単価で売れている。

リピーターが多い。

温泉や料理に明確な強みがある。

スタッフの定着率が高い。

地域内での評判が良い。


こうした部分があるなら、

そこを伸ばすことで事業全体を変えられる可能性があります。


逆に、旅館全体を一括して

「赤字だから価値がない」

と判断すると、本来残せる部分まで見落としてしまいます。



買い手がいない旅館でも、残せることがある


M&Aを検討したものの、

希望する条件では買い手が見つからない。

価格が折り合わない。

地方だから候補先が少ない。

そんなケースもあります。


そのとき、

「買い手がいない=終わり」

ではありません。


経営の仕組みを変える。

規模を適正化する。

価格を見直す。

販売方法を変える。

不採算部分をやめる。

金融条件を組み直す。


こうした方法によって、

売却ではなく「残す」という方向に切り替えられる可能性もあります。



逆に、「売れる旅館」でも再生が簡単とは限らない


一方で、買い手がつきやすい旅館だからといって、経営再生が簡単とは限りません。


規模が大きい分、人件費が重い。

施設が広く、修繕費が大きい。

ブランドを維持するための投資が必要。

客室数が多く、稼働率を維持しなければならない。


大きな旅館ほど、固定費も大きくなる傾向があります。


つまり、

「売れる価値」と「経営しやすさ」も、必ずしも一致しません。



金融機関に見てほしいのは「売却可能性」だけではない


金融機関の立場では、


債権回収。

返済可能性。

事業承継。

担保価値。

など、さまざまな視点が必要になります。


だからM&Aという選択肢が重要なのは当然です。


ただ、それと同時に、

「この事業には、まだ収益を生み出せる部分が残っているか」

という視点も持っていただければと思います。


売却価格だけでは見えないものがあります。



「売れるか」より先に、「残せるか」を考えてみる


M&Aは、大切な選択肢です。


しかし、

売れる旅館=残す価値がある旅館


でも、

売れない旅館=残す価値がない旅館


でもありません。


事業として成立する可能性があるのか。

地域に残す意味があるのか。

改善できる余地があるのか。


そこを一度整理してから、売却を考えても遅くはありません。


「売れるか」の前に、「残せるか」を考える。

私たちは、その視点をもっと広げていきたいと考えています。



金融機関・支援機関の皆様へ


「M&Aを検討しているが、買い手候補が見つからない」

「売却価格が低く、このまま進めるべきか迷っている」

「旅館として残す可能性を一度検討してみたい」


そのような案件がありましたら、正式な案件化前でも構いません。

旅館名や企業名を伏せた状態からでも、お話を伺います。

売却価値だけではなく、事業として残せる価値があるのか、一緒に整理してみませんか。



 
 
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