旅館再生は、本当にM&Aしかないのでしょうか。
- 8 時間前
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旅館の経営が厳しくなったとき。
売上が落ち、資金繰りが厳しくなり、借入金の返済も難しくなってくる。
経営者だけでは改善が難しくなり、金融機関としても何らかの対応を考えなければならない。
そんなとき、近年とても身近になった選択肢の一つが「M&A」です。
もちろん、M&Aそのものを否定するつもりはありません。
後継者がいない。資金力のある企業に引き継いでもらった方が、施設を維持できる。経営者自身も事業から退くことを望んでいる。
そうした旅館にとって、M&Aが最善の選択になることもあります。
しかし、私たちは旅館の現場に携わる中で、ときどき疑問を感じます。
旅館再生の選択肢が、いつの間にか「売るか、廃業するか」の二択になってはいないでしょうか。
「経営が厳しい」と「旅館に価値がない」は違う
赤字が続いている。
債務が大きい。
施設が老朽化している。
人材が不足している。
こうした状況を見ると、その旅館そのものに競争力がないように見えることがあります。
しかし、実際に現場へ入ってみると、必ずしもそうとは限りません。
売り方が昔のままになっている。
適正な料金設定ができていない。
利益の出にくい商品構成になっている。
人員配置と売上規模が合っていない。
予約や販売の仕組みが現在の市場に対応できていない。
経営数字を把握する仕組みそのものが整っていない。
つまり、
「旅館が悪い」のではなく、「経営の仕組み」が現在の環境に合っていない。
そんなケースも少なくありません。
であれば、経営者や所有者を変える前に、経営の仕組みを変えることで残せる可能性があります。
M&Aの前に、「再生」という選択肢があってもいい
私たちが考える旅館再生は、単純に売上を増やすことではありません。
現在の売上、利益、借入金、人員、施設、客室、料理、販売方法などを一つずつ見ながら、
「この旅館は、どうすれば事業として成立するのか」
を考え直すことです。
必要であれば金融機関にも協力いただきながら、一定の時間を確保し、その間に収益構造を変えていく。すぐに結果が出るものではありません。それでも、経営の仕組みを変えることで事業が回り始めるのであれば、旅館そのものを手放さずに済む可能性があります。
M&Aを検討することと、再生可能性を検討すること。
本来、この二つは対立するものではないはずです。
売却を決める前に、「この旅館は本当に再生できないのか」を一度考えてみる。
そんな選択肢がもっとあってもいいのではないでしょうか。
一軒の旅館の問題ではありません
旅館には、多くの地域事業者が関わっています。
食材を納める業者。
酒屋。
クリーニング会社。
設備会社。
清掃会社。
タクシーやバス会社。
土産物店。
そして、そこで働く地域の人たち。
一軒の旅館が地域の中で生み出している経済は、宿泊売上だけではありません。
だから私たちは、旅館再生を考えるときに、
「その会社をどうするか」だけではなく、「地域に何を残すか」
という視点も必要だと考えています。
もちろん、大手企業や地域外の企業が旅館を引き継ぐことで、施設が存続するケースもあります。一方で、仕入れの集約や運営体制の変更などによって、それまで地域内で循環していた仕事やお金の流れが変わる可能性もあります。
旅館そのものが残ったとしても、それだけで地域が残ったことになるとは限りません。
これは、これから全国の温泉地が考えなければならない問題だと思っています。
地域金融機関だからできることがある
そして、この問題を考えるうえで欠かせない存在が、地域金融機関だと私たちは考えています。地方銀行、信用金庫、信用組合などは、単なる資金提供者ではありません。
その旅館が長年どのように地域で商売をしてきたのか。
どんな会社と取引しているのか。
どれだけの人を雇用しているのか。
そして、その旅館がなくなったとき、地域にどんな影響があるのか。
地域を長く見てきた金融機関だからこそ分かることがあります。
だからこそ、
「返済が難しくなったから売却する」
だけではなく、
「この事業を地域に残す方法はないだろうか」
という相談が、もっとあってもいいのではないでしょうか。
私たち自身も、旅館の経営者です
株式会社旅と館は、旅館再生について外から助言するだけの会社ではありません。
私たち自身も、実際に旅館経営の現場に立っています。
売上をどう作るか。
利益をどう残すか。
人をどう採用し、どう配置するか。
設備投資をどうするか。
借入金をどう返していくか。
毎日、その現実と向き合っています。
だからこそ、机上の事業計画だけでは旅館が再生しないことも分かっています。
一方で、
数字が厳しいからといって、すべての旅館が再生できないわけではない。
ということも、現場を通じて感じています。
旅館再生に、もう一つの選択肢を
私たちはM&Aを否定しません。
売却した方がいい旅館もあります。
廃業という決断をしなければならないケースもあります。
しかし、その判断をする前に、
「まだ、この旅館を残す方法はないだろうか」
と考える人がいてもいい。
そして、経営者、金融機関、地域、そして実際に旅館を経営するプレーヤーが一緒になって考えることで、残せる旅館もあるのではないか。
私たちはそう考えています。
これからこのブログでは、旅館経営の現場から見えること、旅館再生の考え方、金融機関との連携、地域と旅館の関係などについて発信していきます。
一軒でも多くの旅館を残すこと。
そして、その旅館を支えてきた仕事や雇用を、できる限り地域に残すこと。
旅館再生に、M&A以外の選択肢を。
それが、私たち株式会社旅と館が取り組んでいきたいことです。
金融機関・支援機関の皆様へ
「業績改善がなかなか進まない」
「経営者だけで立て直すことが難しくなってきた」
「M&Aを検討しているが、その前に再生可能性を考えてみたい」
「地域にとって重要な旅館なので、できれば残したい」
そのような旅館がありましたら、まだ正式な案件になっていない段階でも構いません。
旅館名や企業名を伏せた状態からでも、お話を伺います。
売却するかどうかを決める前に、一度「残す方法」を一緒に考えてみませんか。

